学資保険と元本割れ~知らなきゃ損する!?元本割れの仕組みと対策をFPが分かりやすく解説

子供の教育資金を貯めるための手段として、筆頭に挙がってくるであろう学資保険。

これから検討するにあたって何に気をつければ良いか、気になりますよね。

それに、よく「元本割れをしたら損」といったような意見も聞くけど、そもそも元本割れって何?と思う方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、学資保険に加入する上で念頭に入れなければいけない元本割れの詳細とリスクについて解説。

さらに、学資保険のシミュレーションや代替手段のご紹介まで行っていきます。

学資保険って元本割れが当たり前なの?

そもそも、学資保険の仕組みや元本割れがなぜ起こるのかを理解していく必要がありますよね。

その上で、学資保険において元本割れが起こるのは当たり前なのかどうかを考えていきましょう。

学資保険の特徴

はじめに学資保険の特徴をおさらいしていきますと、学資保険は、子供の教育資金(主に大学進学や在学中の学費)を貯めることに特化した生命保険です。

一般の生命保険ですと、保障の対象になる「被保険者」に万一のことがあった時のみ保障されるのですが、学資保険ですと被保険者となる子供だけでなく、「契約者」である親も保障対象となるので、親に万一のことがあった場合には保険料支払い免除となるのが、学資保険の強みですね。

参照記事⇒5分でわかる!学資保険とは?|ソニー生命

また、他の生命保険と違い、保障より貯蓄に特化していますので、死亡保険金と満期保険金が同じ金額であることが一般的で、加入時から「子供が◯歳になるまでの間保険料を支払えば、◯歳のタイミングで◯万円受け取れる」というのがはっきりとわかるのも、1つの安心材料と言えます。

こうした貯蓄型の保険商品であるので、保険会社としても「手厚い保障」より、「高い返戻率」を売りにしてくるのが学資保険なのですが、昨今はその返戻率が芳しくありません。

それがなぜなのかを見ていきます。

学資保険の返戻率とは?元本割れってどういうこと?

まず、そもそも返戻率とは何かを確認しましょう。

返戻率とは、下記の計算で算出される、「支払ってきた金額より受け取る金額が多いかどうか」の率を指します。

返戻率≒受取学資金総額÷払込保険料総額×100(小数点第2位以下切捨)

引用_学資保険のことなら学資金準備スクエア|ソニー生命

例えば、満期保険金が200万円で、合計の支払い保険料が190万円だった場合の返戻率は、

2,000,000(円)÷1,900,000(円)×100≒105.3(%)

となります。

返戻率が100%を超えた場合には、今まで支払ってきた金額よりも多い還元があります。

また、返戻率が高ければ高いほど差額が大きくなるので、よりお得な状態と言えますね。

反面、返戻率が100%を割ってしまいますと、最終的に受け取れる保険金よりも今まで支払ってきた保険料の方が高くなるので、損をする形となります。

この返戻率が100%を割った状態を、「元本割れ」と言います。

学資保険を取り巻く近年の低金利

ソニー生命が実施している、大学生以下の子供がいる20〜69歳(調査年により、対象の子供が高校生以下までになる場合や、30歳〜59歳等までに対象を絞っている場合もあり)の男女に対して行った調査結果において、学資保険の加入率が下記のような推移を辿っております。

・2014年:54.0%
・2015年:59.5%
・2016年:60.6%
・2017年:57.1%
・2018年:46.3%
・2019年:50.8%

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成25年度)|ソニー生命保険株式会社

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成26年度)|ソニー生命保険株式会社

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成27年度)|ソニー生命保険株式会社

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成28年度)|ソニー生命保険株式会社

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成29年度)|ソニー生命保険株式会社

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成30年度)|ソニー生命保険株式会社

上記の調査結果を見ると、2018年の加入率に大幅な下落が確認できます。

それもそのはず、昨今のマイナス金利の影響で、学資保険の返戻率に大きく関わる「標準利率」が引き下げられたために、返戻率が大きく落ち込んでいるからです。

ここで簡単に、マイナス金利と標準利率のことに触れていきます。

2016年1月、デフレ脱却の金融緩和政策として、日本銀行がマイナス金利を発動しました。

参照記事⇒初めてでもわかりやすい用語集 マイナス政策|SMBC日興証券

通常の金利であれば、各金融機関はお金を企業や個人に貸さなくても手元に置いておけば日本銀行から利息をもらえていたのですが、マイナス金利になると、各金融機関は自分の会社の手元にお金を置いておくと、逆に日本銀行に利息を支払わなければならないという構図ができます。

そうなると各金融機関は、企業や個人にお金をたくさん貸していかないと、儲けられなくなるのです。

それも、マイナス金利の状況ですから、とても少ない金利で貸さなければ、企業も個人も借りてくれません。

そうすることで、企業や個人がお金を借りやすくなり、消費・生産活動を活性化することで景気を良く(インフレに)しようという流れになっています。

最近は巷でも、住宅ローンがとても安くて「今が買い時」といったような広告を目にすることも多いですよね。

マイナス金利の影響は、様々なお金のやりとりにおける金利に広がっているということです。

そうなりますと、その金利が高いからこそお金を増やせて利益・還元を増やせる保険業界では、このマイナス金利の流れはむしろ悪影響となります。

マイナス金利を受けて、金融庁が2017年4月に、保険業界の標準利率(責任準備金という、保険会社の万一があっても保険加入者に返金できるよう手元に準備しておくべき金額の計算利率)を、今までの1%から0.25%に大幅に引き下げました。

これは史上最低の水準です。

参照記事⇒標準利率改定により保険料値上げ|保険見直し本舗

金利が低いということは、お金にかかる倍率が低いということですので、各保険会社は今までよりも責任準備金として、自身の保険会社に置く手元のお金をよりたくさん用意しなければいけなくなりました。

これは、保険会社が今までよりも取り分を大きくしなければならないことを意味しますので、その分私たち加入者からの保険料は多くもらわなければいけませんし、還元するお金も少なくする必要があります。

こうした影響で、特に貯蓄性の高い学資保険については、その煽りを強く受けて値上げと返戻率の低下が起こっているということですね。

参考までに、先ほどの標準利率は、バブル期の平成元年には6%だった時代もあり、現在の0.25%の24倍も高い利率です。

参照記事⇒参考資料|金融庁

もちろん、純粋に私たちへの還元が24倍になるわけではありませんが、昔は学資保険として支払った金額の2倍の金額で還ってきたという時代もあったようなので、低金利によって学資保険も大きく様変わりしているのですね。

大手保険会社の学資保険 返戻率の比較

それでは、現在の大手保険会社各社の学資保険において、返戻率がどのようになっているかを比較していきましょう。

※下記返戻率は、「契約者:30歳男性、被保険者:0歳男の子、受取保険金総額300万円、祝い金無し、月払い、子供が18歳の時に受け取り」という設定にてシミュレーションしております。

1.ソニー生命(学資金準備スクエア)

昨今の低金利の中でも特に返戻率にこだわって展開している会社です。

ここでは、子供が18歳のタイミングで300万円一括の受け取りと、18歳のタイミングから22歳になるまでの5年間に渡って、毎年60万円ずつ、合計300万円の受け取りを行える2つのプランでシミュレーションしております。

一括300万円の受け取りの場合

・払込期間18歳まで:約101.9%
・払込期間10歳まで:約104.8%

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

60万円ずつの受け取りの場合

・払込期間18歳まで:約103.8%
・払込期間10歳まで:約107.2%

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

2.かんぽ生命(はじめのかんぽ)

ゆうちょグループの保険会社で、誰もが知る保険会社ですね。

ここでは、子供が18歳のタイミングで300万円一括の受け取りと、18歳のタイミングから21歳になるまでの4年間に渡って、毎年75万円ずつ、合計300万円の受け取りを行える2つのプランでシミュレーションしております。

一括300万円の受け取りの場合

・払込期間18歳まで:約94.9%

参照記事⇒お見積もりシミュレーション|かんぽ生命

75万円ずつの受け取りの場合

・払込期間18歳まで:約95.5%

参照記事⇒お見積もりシミュレーション|かんぽ生命

3.こども共済(JA共済)

全国に相談窓口のあるJA共済ですね。

ここでは、子供が18歳のタイミングから22歳になるまでの5年間に渡って、毎年60万円ずつ、合計300万円の受け取りを行えるプランでシミュレーションしております。

・払込期間18歳まで:98.3%
・払込期間11歳まで:101.1%

参照記事⇒共済掛金シミュレーション|JA共済

4.アフラック(夢みるこどもの学資保険)

がん保険を中心に認知度の高い保険会社ですね。

ここでは、高校入学時に50万円、大学入学時に100万円、その後3年間に渡って50万円ずつ(150万円)、合計300万円の受け取りを行えるプランでシミュレーションしております。

・払込期間18歳まで:96.2%
・払込期間10歳まで:98.1%

参照記事⇒アフラックの夢みるこどもの学資保険:保険料シミュレーション|アフラック

5.ニッセイ学資保険(日本生命)

民間保険会社の中で最大手と言える保険会社ですね。

ここでは、子供が18歳の時に100万円、その後4年間に渡って50万円ずつ(200万円)、合計300万円の受け取りを行えるプランでシミュレーションしております。

・払込期間18歳まで:約104.0%
・払込期間10歳まで:約107.2%

参照記事⇒ニッセイ学資保険|日本生命保険相互会社

大手保険会社の商品でも、元本割れしている商品が複数確認できますね。

もちろん、親や子供の年齢や支払い方によって返戻率は変わってきますので、加入前に様々な商品の返戻率はチェックする必要がありそうです。

学資保険はこんな場合に元本割れをおこしやすい

上記の大手保険会社の商品以外でも、加入時の設定に加えて下記に挙げるような場合により元本割れをしやすくなってしまいます。

具体的にどういうケースが元本割れを生みやすいのかを見ていきます。

学資保険は「保障」を付けると元本割れしやすい

まず、学資保険はあくまでも子供の教育資金を「貯蓄する」ことが目的として強い商品です。

ですので、子供の医療保障等を特約でつけてしまい、「保障する」ことも両立させようとすると、より元本割れのリスクが高まります。

学資保険自体は貯蓄性の高い保険なのですが、医療特約は掛け捨てとして保険料に上乗せすることとなりますので、例えば仮に毎月500円の保険料上乗せだとしても、それを子供が18歳になるまでの216ヶ月分支払うと、18年間で108,000円の保険料となります。

先ほどの300万円の学資保険で例えば103%程度の返戻率のものに加入できたとすると、約291万円の支払いで済み、約9万円得をする形になるのですが、上記のような医療特約を付けただけで、支払いの方が高くなってしまうのです。

毎月に直すと安い特約ですが、それだけで数%分の返戻率を下げてしまう効果があるということですね。

学資保険は途中解約すると元本割れする

学資保険の返戻率は、あくまでも支払い満期まできちんと支払いを継続した暁に保障される数字です。

学資保険に限らず、返戻金や満期保険金のある保険商品はどれも原則そうなのですが、保険会社は加入者からの保険料を原資として運用をし、そこで見込める利益を含めて加入者への返戻金や満期保険金の支払いをしてくれます。

返戻率が100%を超える商品があるのはそのためなのですね。

ですので、途中の解約は保険会社としても困ることでもありますし、返戻金や満期保険金は長期間の運用があって保障される金額でもあるので、途中の解約では元本割れのリスクは大きく高まると言えます。

商品の性質や加入期間にもよりますが、解約が早期であればあるほど返戻率は低くなり、最悪の場合ほとんど還ってこないというケースもありますので、注意してください。

参照記事⇒特に重要なお知らせ(注意喚起情報)|明治安田生命

学資保険の積立年数が少ないと元本割れしやすい

途中の解約と話はリンクしますが、学資保険を含む貯蓄型保険商品の返戻金や満期保険金は、保険会社の運用にてお金を増やせることが前提のものとなっていて、皆さん加入者から預かった保険料の原資の合計額が大きいからこそでき、返戻率100%超えの商品も生み出せます。

こうした運用において、金額と同等以上に大切になってくるのが、「期間」でして、運用の期間が長ければ長いほど、お金を増やせる可能性が高まります。

これは反面、学資保険の加入においては子供ができるだけ小さいうちから加入しないと、返戻率を上げにくいということを意味しています。

子供が大きくなればなるほど、大学進学や卒業を迎える18歳、22歳までの「期間」が短くなるので、その分お金が増やしにくいということですね。

元本割れにはなっていませんが、例えば前述のニッセイ学資保険で、返戻率が104%だった「子供が18歳の時に100万円、その後4年間に渡って50万円ずつ(200万円)、合計300万円の受け取り」のプランで見ていきますと、

・子供の年齢が6歳で加入した時の返戻率:約101.6%

となります。

参照記事⇒ニッセイ学資保険|日本生命保険相互会社

保険会社によっては元本割れする商品は売らないようにしているところもあるので、仮に元本割れはしなくても子供が大きくなってからの加入ですと、保険金額や受け取り方等選べるプランに制限が出る可能性が高いですね。

元本割れしない学資保険とは

元本割れしない学資保険とは、ズバリ返戻率が100%を下回らない商品のことを指しますが、前述の通り、今では大手保険会社でも元本割れが普通になってしまっています。

返戻率が低い商品を売る保険会社の中には、返戻率ではなく月々の支払い額で案内する場合もあるので、この場合は自身で返戻率を計算してみないといけません。

また、前述でも少し触れましたが、保険会社によっては元本割れ商品は売るまいとして売る商品に制限をかけてくれているところもあります。

例えばソニー生命で、契約者30歳男性、受取保険金総額200万円としてシミュレーションした場合に、子供が0歳の場合ですと、

・子供が18歳になってから5年間に渡って、毎年40万円ずつ受け取れるプラン(10歳までの払込も18歳までの払込も対応)

・子供が18歳になったタイミングで200万円一括で受け取れるプラン(10歳までの払込も18歳までの払込も対応)

・子供が12歳と15歳になるタイミングで36万円ずつの祝い金、18歳のタイミングで120万円を一括で受け取れる(総額192万円)プラン(10歳までの払込のみ対応で、月払いと年払いがあり)

といった形で、合計6パターン(実質5プラン)が提示されます。

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

一方で、上記のモデルケースで子供が3歳ですと、

・子供が18歳になってから5年間に渡って、毎年40万円ずつ受け取れるプラン(10歳までの払込のみ対応で、月払いと年払いがあり)

・子供が18歳の時に100万円、20歳の時に100万円受け取れるプラン(10歳までの払込のみ対応で、月払いと年払いがあり)

と、実質2つのプランしか提示がされませんでした。

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

子供の年齢や諸条件により、返戻率は変わってきますので、例で挙げたソニー生命も含めて、元本割れしない学資保険のみを扱ってくれる保険会社を探すということも重要ですね。

学資保険の返戻率をアップさせるコツ

ここでは、返戻率を少しでも上げられる加入、選択の仕方として3つのコツをご紹介します。

1.契約者を母親名義にする

一般的、またイメージとしても父親名義の加入が多いと思いますが、実は母親名義の契約の方が返戻率が良くなります。

理由は、男性より女性の方が死亡率が低いからです。

人口10万人対比で見ていきますと、平成29年の死亡者数は、

・20代男性:98.8人
・20代女性:44.1人
・30代男性:140.2人
・30代女性:77人
・40代男性:306.3人
・40代女性:173.4人

といったように、どの年代でも男性の方が女性の倍程度の死亡者数がいます。

参照記事⇒平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

前述の通り、学資保険は生命保険なので、死亡リスクが高いほど保険料が高くなります。

ですので、死亡リスクが男性よりも低いので、母親名義の契約の方が安い保険料に繋がるということですね。

2.保険料の支払い方法を、毎月払いではなく、年払いにする

返戻率を上げるポイントとして、保険会社の運用して利益を出すことで私たちへの還元が増えるという原理から考えていきますと、「金額」と「期間」が重要になります。

金額の部分では、保険会社にとってできるだけ早く、多くの金額を支払ってもらう方が、長期間の運用に回しやすいですよね。

ですので、同じ保険金、同じ受け取り方の場合、毎月払いよりも一括払いの方が返戻率は高くなります。

しかし、ここには2つのデメリットがあり、

・まとめて払いきれる金銭的余裕がないと実現しない
・生命保険料控除は1回しか利用できない

という2点です。

仮に300万円の保険金の商品に加入する場合、返戻率が良くなっても、目安280万円前後の金額はまとめて必要になります。

今の時代車を買うにも基本ローンで組む世帯が多いですよね。

車1台分をキャッシュでどんと支払えるくらいの預貯金にも余裕がないとできない方法なので、可能な方に限りがあります。

また、生命保険料控除によって、毎年の年末調整や確定申告の申請時に必要な書類を添付すれば、上限4万円分の税額控除を受けられるので、数千円程度税金を安くできます。

毎月払いのように毎年支払いがあれば、この生命保険料控除は毎年受けられるのですが、一括の支払いにするとこれが1回しか受けることができません。

そこで、毎年1回でまとめて保険料を支払う方式を採用するという手段があります。

年払いは、一括払いに比べると保険料を安くする効果は薄れますが、毎月払いよりも保険料は安くなります。

更に、保険料控除は毎年の年末調整や確定申告で申請するので、この方式であれば保険料控除は支払い期間中毎年受けられることとなります。

実際の返戻率も上げ、かつ還ってくる税金も無駄なく受け取ることで、実質的な返戻率を上げることができますね。

3.保険金の受け取り方は、年金方式を選択する

上記で挙げた「期間」の面からオススメの受け取り方です。

例えば300万円の保険金で加入した場合に、子供が大学に進学する18歳を迎えるタイミングで、満期保険金として300万円を一括で受け取ると、そこで保険は終わります。

そこを年金方式として受け取ることで、18歳を迎えるタイミングから4〜5回に分けて大学在学期間にも等分の保険金が毎年支払われるので、22歳になるまで保険が継続します。

前述の通り、できるだけ長く保険期間を設けることで、より多くの運用益を見込めるので、返戻率が上がります。

ですので、年金方式の方が構造的に保険料が安くなりやすいということですね。

一方注意としては、この原理から見ると進学祝い金として早い段階でお金を受け取ると、保険会社にとっての原資を期間の短いうちから減らしていることになるので、その分見込める運用益が減ってしまいます。

ですので、返戻率を良くしたい場合は祝い金の受け取りは控えた方がいいですね。

学資保険のメリット・デメリット

ここまで、学資保険の元本割れのリスクについて触れてきましたが、ここで学資保険に加入するメリットとデメリットを押さえて、教育資金の準備手段としてご自身に適しているか確認していきましょう。

まずメリットは、大きく2点あります。

1.銀行預金やタンス貯金(自宅での現金管理)よりも、お金が増える商品もある点

銀行預金をしていて付く金利は、最新の三菱UFJ銀行のものを見ると「0.001%」ですが、これは100万円預けてやっと1,000円増える計算です。

参照記事⇒円預金金利|三菱UFJ銀行

また、タンス貯金であれば金利はつかないので、増える可能性はゼロです。

一方で学資保険は、厳しい低金利の中でも返戻率100%を超える商品もあるので、同じ金額を貯めるなら学資保険の方が効率的な場合もありますね。

2.万一の保障も含め、半強制的に子供の教育資金を確保できる点

この2点目が学資保険最大のメリットでしょう。

学資保険に加入して、例えば満期保険金200万円と決めてしまえば、あなたに万一のことがあっても生命保険金として子供の教育資金200万円は確保できます。

また、仮に日々の生活費の中から「余ったら教育資金に回そう」「何とか1万円取っておこう」と思っても、それを子供が大きくなるまでの十数年間継続できるのは相当意思が強くないと難しいですよね。

どうしても人間は弱い生き物ですので、手元に使えるお金があると、急な出費や衝動的な買い物で使ってしまいがちです。

その点学資保険は、毎月必ず口座から引き落とされるため、感覚としても「固定費」として、自然と子供の教育資金を積み上げる仕組みを作ることができますね。

次に、デメリット(リスク)はこの2点です。

1.商品によっては元々から、またそうでなくても途中解約時の元本割れリスクが高い点

今までで見てきました通り、昨今の低金利の影響で、商品によっては既に元本割れが確定している商品もあり、そうなると考え方によっては銀行預金やタンス貯金よりも損とも言えます。

また、仮に返戻率100%を超えている商品に加入しても、途中で支払いが継続できなくなって解約してしまえば、ほぼ間違いなく元本割れをし、大きな損をすることになります。

2.インフレに対応できない(弱い)点

これはあくまでも可能性があるというものですが、今後インフレが起きてしまうと、場合によっては損をする可能性があります。

政府が低金利を推し進めているのは、日本全体の景気を良くして、物価を上げることが目的となっております。

参照記事⇒経済・物価情勢の展望(2019年1月)|日本銀行

仮に政府の狙い通りに物価が上昇していきますと、「物の価値が上がり、お金の価値が下がる」こととなりますが、例えば昔は100円を切っていた新聞が今では13〜140円になっているといったことも、この物価が影響していると言えます。

もちろん確実に決まっているわけではなく、あくまで可能性ですが、満期保険金を受け取る将来に、今より大幅なインフレが起きている場合には損をする可能性があるのです。

なぜなら、例えば子供が大学に入学する18年後に200万円を受け取るとした場合に、インフレの影響で大学の入学金や授業料が今の倍になっていた、というようなリスクが存在しているということも考えられるからです。

こうしたメリット・デメリットを理解した上で、学資保険の加入を検討するのが良いですね。

学資保険シミュレーション

では、実際にいくつかの商品で、どのようなプランがどの程度の返戻率で受け取れるかをシミュレーションしていきます。

受取金額や払込年数を変えて色々とシミュレーションしてみましたので、参考にしてみてください。

(契約者:30歳男性、被保険者:0歳男の子、月払いとして計算)

1.受取金額100万円のプラン(学資金準備スクエア|ソニー生命でシミュレーション)

・子供が18歳のタイミングで100万円を一括で受け取る場合

保険料:7,950円
払込年数:子供が10歳になるまで
返戻率:104.8%

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

・子供が18歳のタイミングから、5年間に渡って毎年20万円ずつ年金方式で受け取る場合

保険料:4,458円
払込年数:子供が18歳になるまで
返戻率:103.8%

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション|ソニー生命

2.受取金額200万円のプラン(こども共済|JA共済でシミュレーション)

・子供が18歳のタイミングから、5年間に渡って毎年40万円ずつ年金方式で受け取る場合

保険料:11,130円
払込年数:子供が15歳になるまで
返戻率:99.8%

参照記事⇒共済掛金シミュレーション|JA共済

3.受取金額300万円のプラン(ニッセイの学資保険|日本生命でシミュレーション)

・子供が18歳のタイミングで100万円を、その後4年間に渡って50万円ずつ受け取れる年金方式の場合

保険料:13,350円
払込年数:子供が18歳になるまで
返戻率:約104.0%

参照記事⇒ニッセイ学資保険|日本生命保険相互会社

・子供が18歳のタイミングで100万円を、その後4年間に渡って50万円ずつ受け取れる年金方式で、加えて子供が6歳、12歳、15歳になる2ヶ月前にそれぞれ20万円ずつ祝い金を受け取れる、総額360万円受け取りの場合

保険料:16,300円
払込年数:子供が18歳になるまで
返戻率:約102.2%

参照記事⇒ニッセイ学資保険|日本生命保険相互会社

学資保険の途中解約でも元本割れを避ける方法

「学資保険に加入して何年か支払いを頑張ってきたけれど、毎月の支払いが今後できそうにない…でも、元本割れは避けたい」といったお悩みを抱えてしまう場合に、元本割れを避けられるかもしれない回避方法を2つご紹介します。

ただ、いずれもデメリットが伴うので、活用する際にはよく検討してからにしましょう。

まず1つ目が、「契約者貸付」の制度を活用する方法です。

「契約者貸付」とは、資金が必要なときなどに、解約返還金の一定範囲内で貸付する制度です。なお、貸付金には会社所定の利息がかかります。

引用_ご契約者貸付|第一生命

学資保険の保険料を支払ってきていることで、保険会社としても今まで預かってきた保険料の中の返戻金部分から、一定の範囲内で貸付ができるということです。

一時的に資金が枯渇してしまって、なんとか数ヶ月でもやり過ごせればまた支払いが継続できる、といった場合には有効な手段と言えます。

ですが、上記説明にも記載の通り、もちろん利息はかかりますので、長期的に借りてしまえば元本割れのリスクはどんどんと高まっていくので、あくまでも一時的な対応策と考えておきましょう。

2つ目が、「払込済保険」に変更する方法です。

払済保険とは、保険料の払込みを中止し、変更時の解約払戻金を一時払の保険料に充当して今までの契約の保険期間を変えずに保障額の少ない保険に変更できる制度です。

引用_払済保険に変更する|日本生命

今までの支払い累計の中で、保障できる範囲の保険金にダウンサイジングして、今後の支払いを終わらせる方法です。

貸付制度とは違い、「もう今後しばらく支払いの目処が立たないので、支払いを終わりにしたい」という場合に有効です。

こちらももちろん、今までの支払いをどれだけやってきたかによって保険金額も変わりますし、元本割れしないことを保障しているわけでもありませんので、その点はご注意ください。

教育資金を積み立てる方法は学資保険だけではない

今まで学資保険について見てきましたが、子供の教育資金を準備する手段として、他にも様々なものがあります。

そこで、学資保険の代替手段になる方法を、特徴やリスク等簡単にご紹介していきます。

生命保険

まず、一般の生命保険を用いて、「解約返戻金」を学資保険金の代わりにする方法があります。

特徴としては、学資に限った目的ではないため、子供の年齢等に関係なく活用が可能であることです。

生命保険としてより大きな金額に加入しておき、別途で子供の教育資金が準備できれば、老後のために活用するといった複合的な目的でも利用できますね。

一方でリスクとしては、通常の生命保険では、被保険者を子供にした場合に親の万一は保障されないですし、逆も然りなので、子供が小さい時の万一を考えると学資保険に劣る点です。

また、学資保険のように子供の進学に合わせてカスタマイズしにくいので、払込期間の選択肢が限られるのもリスクですね。

参考に、オリックス生命の終身保険「RISE」にて、親が30歳男性の場合でどうなるか見ていきますと、

・保険金額200万円、払込期間15年の場合

月額保険料:8,808円
払込期間終了直後の解約返戻金:約158万円
返戻率:99.6%

となります。

参照記事⇒保険料シミュレーション|オリックス生命

個人向け国債

続いて、個人向け国債の活用方法です。

国債は国とのお金の貸し借りになりますので、貸し倒れのリスクが限りなくゼロに近いのが強みです。

一方で、リスクが少ないことから、利子も少なく、また昨今の低金利の煽りはここでも影響しており、受け取れる利子はほとんどわずかであることがデメリットですね。

個人向け国債の変動金利型10年満期の商品に200万円貸した場合の、10年後に受け取れる利子は494円で、適用金利は0.05%となっております。

参照記事⇒受取利子シミュレーション|財務省

定期預金

銀行への預金と似ていますが、一定の期間指定した金額を預ける方法です。

銀行預金と違って、預けた金額を指定した期間引き出すことは原則できませんが、その分自由に引き出せる銀行預金よりも金利が高いのが特徴です。

通常の預金金利が0.001%であるのに対し、定期預金金利は0.02%以上(期間、金額により変動)である銀行が多く、通常の預金の20倍です。

参照記事⇒ー円定期預金ー金利|住信SBIネット銀行

参照記事⇒定期預金の最新の金利はこちら|楽天銀行

投資信託(ジュニアNISA)

投資信託として、ジュニアNISAを活用する方法もあります。

特徴は、年間80万円までの非課税枠が設けられており、出せた利益に税金を課されなくて済むのが強みです。

参照記事⇒ジュニアNISAの基礎知識|金融庁

また、子供が18歳になるまで引き出しができないので、途中で引きさせずに強制的に子供の教育資金として積み上げられますが、これがリスクになる場合もあるので慎重に利用するのがいいでしょう。

参照記事⇒ジュニアNISAの基礎知識|金融庁

また、投資信託になるので、元本割れのリスクも伴いますが、反面増える場合にも上限はなく、インフレにも対応しやすいので、長所短所がはっきりしています。

利率として何%といった明確に保障されるものがないので、いくら増えるか見通しにくいという点も含めてメリット・デメリットをよく吟味する必要があります。

外貨建て

昨今の低金利は、日本の円市場に関してのお話なので、例えば米ドルや豪ドルといった外貨で積み立てるという手段があります。

特徴は、低金利でない外貨市場で運用すれば、円建てに比べて格段に高い金利でお金を貯められる可能性が高いことです。

一方でリスクとしては、外貨にも一定の低金利リスクが伴う点があることと、外貨から円に替えるにあたって、子供の大学進学時等必要な時に円高になってしまうと最悪の場合に元本割れのリスクもある点です。

利率としては、例えばメットライフ生命の豪ドル型養老保険(貯蓄型生命保険)の場合、

・最低保証利率:年3.00%
・2019年6月時利率:3.36%

となっております。

参照記事⇒積立利率について|メットライフ生命

住宅ローンの繰り上げ返済をしてしまう

既にマイホームを持っていて、住宅ローンを組んでいる場合には、学資保険よりも繰り上げ返済の方が家計の総支出を減らせる可能性があります。

例えば、3,000万円の借り入れを、固定金利1%として35年ローンを組んだ場合に、毎月の返済額は84,685円となり、35年間で合計5,567,700円の利息を支払うことになります。

毎月の手取り収入が30万円とした場合に、約28%というほとんど3分の1を住宅ローンにあてていることとなります。

例えばこれを、借り入れから5年後に100万円繰り上げ返済をするだけで、

・支払期間:1年3ヶ月短縮が可能
・支払利息:323,597円減らすことが可能

となります。

参照記事⇒一部繰上返済シミュレーション|三井住友銀行

このように、家庭の総支出という点で考えますと、100万円繰上返済するだけで、学資保険に18年や10年支払うよりもメリットを生み出せますね。

奨学金、教育ローンを利用する

子供が大学生になってから奨学金を活用したり、教育ローンを活用して大学になるまで資金調達をするという方法もあります。

特徴は、奨学金の場合に子供の頑張りと親の収入によっては無金利の奨学金も用意されているので、通常のローンよりも効率的にお金を借りられる可能性がある点です。

ですが一方で、奨学金でも利子付きのものがありますし、教育ローンも同様に金利がかかりますので、この手段はどれも借金であることに変わりありません。

教育資金をどうしても準備が難しい場合に検討する手段だということを覚えておきましょう。

学資保険に加入する際の注意点

最後に、学資保険に加入する際の注意点をまとめていきます。

まず、子供の年齢に注意してください。

ほとんどの商品では、子供の年齢が6歳を超えると加入できなくなります。

また、満期まで確実に払いきれるプランを選択しましょう。

返戻率を考えるとより短期間で支払いする方がいいのですが、月々の支払い額が上がって将来支払いが辛くなる可能性もあります。

最後に、ご自身が現在加入している他の保険とのバランスを考えましょう。

学資保険の最大のメリットは、生命保険としての万一の保障も加わっている点ですが、仮に現在他の生命保険で手厚い保障を受けているのでしたら、わざわざ学資保険を利用する必要があるのかは考えるべきです。

貯蓄性や返戻率だけを考えれば、他にも検討できる手段はありますので、その点も踏まえて検討していきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

昨今の学資保険は、実際元本割れする商品も増えて、うまみを感じにくいものになっていることも事実。

反面、メリットにも挙げたように、学資保険が向いている方もいらっしゃるので、メリットもデメリットも、また代替手段を見ていった上で、自分にはどの手段が適しているかを考える機会にしてもらえれば幸いです。

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